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158: 10/3/3 11:4:32
数年前の話
私は中学から大学までイタリアのミラノにいて、当然ながら学校は私以外イタリア人ばかりだった。
で、中学校時代のある日、となりのクラスに日本人が来たらしい。
その時は別に興味ないしクラスも違うしってことで「ふーん」で済ませてたんだけど、
一週間くらいして、その隣のクラスの先生に話しかけられた。
どうやらその転校生が、日本から来たのに日本語を一切使わないらしい。
最初は日本人だからってことでクラス中が珍しがって『日本語喋って喋って!』状態だったらしいんだけど、
最近じゃあまりにもその子が拒否するから、みんな寂しがってその子から離れていっちゃうらしい。
このままじゃ駄目だから、同じ日本人だから話してみてほしいと頼まれて、
私も気になったんでその子の元へ言ってみることにした。
帰り道で待ち伏せて、話しかけたら最初その子はびくってしたけど、
私が日本語で『日本人です』って話しかけたら、凄い勢いで安心したように泣き付かれたんだ。
で、事情を聞いたら、その子はどうも青森の方の出身で、標準語が全くできないらしい。
だから自分の方言を聞いて、『日本語じゃない』って返されるのが怖かったんだと。
(事実私も、その子の方言を全く理解できなかったくらいだから、
外人が聞いたらどこか別の言葉に聞こえるんじゃないかってレベル)
私は話を聞きながら、『でもイタリア人はみんないい人だよ』
『どこの国にも訛りはあるんだし、勇気を出そうよ』って説得、
その子も最初は渋ってたけど、
最終的には『ん、やてみら(やってみる、らしい)』と勇気を出すことに。
次の日、となりのクラスまでついていってみんなの前で宣言
その子、まずイタリア語でみんなに謝罪、
そして、自分のいた所が日本の中でも変わった言葉を使う地方のものであること、
日本では地域によって全く言葉が違う事を説明、皆は『ふーん?』っていうリアクションだった。
外国の訛りってのはだいたいアクセントが違うとかそんなもんだから、
みんなもそんなレベルだろうと思っていたらしい。
で、その子が『ちゃんと日本語で挨拶する!』と宣言したとたん、クラス中が沸き立つ。
廊下にいた子や、歓声を聞きつけた私のクラスの人や先生まで集まってくる中、
その子は私の服の裾をギュッとつかんで、真っ赤になりながら言った。
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